日本人は古来より、中心線を大事にしてきた民族のように思えます。食事の時には、茶碗を口元に持ってくるように躾を受けられた方も多いと思います。欧米では、口を皿の方へ持っていく躾になっているのとは対照的ですね。
神社でお参りする時も、真っ直ぐ礼をして中心線で柏手を打ちます。
私は小学校、中学校と書道を習っていましたが、最初に教えられたのは姿勢でした。正坐をして、背中を立てて、机から握り拳一つ分を空けて座るように指導されました。
良い姿勢というと、胸を張り背中の筋肉を緊張させるような学校教育もありますが、バランスの良いところを見つければ、さほど筋肉に力を入れなくても姿勢よく楽に座ることができます。立っている時も、自分のバランスに気づけば、楽に立つことができます。
クラニオでは、クライアントの方とともに静かに落ち着いていくと、中心線から広がっては戻っていく動きや、中心線を上昇しては下降する動きが感じられることがあります。
中心線に命の動きを感じられるのは、このワークのプラクティショナーをしている特権かもしれません。クライアントの方の中には、この動きを感じる方もいらっしゃいます。
そして、その動きの中にある種の質が感じられることもあります。優しさであったり、許容する力であったり。細身の女性でも勇敢な力強さを感じることもあります。
楽しい時も、つらい時も、この命の動きを妨げず、中心線を立てておきたいものです。